アルベルト・ザッケローニ

アルベルト・ザッケローニ

日本は素晴らしいクオリティを持った選手と、素晴らしい能力を持ったチームであり、中には能力に気づいていない選手もいる。チームとしてはまだまだ伸びると思っている。だが、課題もある。試合の流れを読むことだ。

 

長く監督をしているが、これだけベンチにいた選手たちが試合に出て決定的な仕事をするチームというのを見たことがない

 

代表選手の選考に当たっては、4つの基準を設けています。「個性」「身体能力」「技術」そして「戦術」です。自律性は個性に含まれるでしょうが、もちろん重視しています。サッカーはチームスポーツであるとともに、個の局面も強いので、自分で適切な判断を下せる力が不可欠です。当然、そういう力に優れた選手を選んでいます。それに加え、年齢に関係なく向上心を持っている選手を評価しています。

 

一流選手というものは、ファンのみならず、チームメイトからも愛され信頼されています。才能だけが光っているような選手は自分の才能を活かす楽しさも、周りの才能を活かす大切さもよくわかっています。

 

自分たちがどんな準備をしたか、どんな心構えで臨んだか、そのプロセスだけは何があっても忘れさせるつもりはない。自信を持つべきは、順位や数字ではなく、たどったプロセスそのものにあるのですから。

 

一番好きな言葉は、イタリア語で考えると”バランス”。日本語ではサムライブルーの”サムライ”という言葉が非常に好きだ

 

私は日本人として日本代表を率いているつもりで仕事に取り組んでいる。就任したときから、チームの文化を変えるつもりはないし、自分のカラーを強制するようなスタイルは持っていません。自分のサッカー哲学を植え付けるところはあるでしょうが、できるだけ選手たちのことをわかろう、尊重していこうという姿勢を貫いています。自分の仕事は、まず選手たちのことを深く理解すること、選手たちに合ったスタイルをつくり上げるということですから。

 

これは日本だけでなく世界共通ですが、チームに対する方針が明確でブレないこと、それに即して個別に、「君はこうすべきだ」「こうすべきではない」という技術的な指導をしてくれる監督を選手は望んでいます。

 

自分は、選手に合わせるような指導法をしてきました。時間が限られているので、やはり選手たちの特徴や性格を把握したうえで、話をしたほうがいい。選手たちに合わせて、能力を引き出してあげるのがいいと思っています。

 

練習が終わり、ロッカールームへ戻る選手たちに私が話しかけているのを見て、日本の記者たちは驚きます。イタリアで監督をやっていたころは、選手とよく話をすることに関してメディアからコメントを求められたことはありませんでした。これは憶測ですが、サッカーの監督に限らず、日本のボスは、個ではなく、組織全体に話をすることが多いのではないでしょうか。

 

イタリアでACミランを私が初めて率いたときのことです。当時チームは前年の順位が11位と、成績が低迷しており、みんなが同じ方向を向く状態ではありませんでした。自分が出場したいばかりにチームの和を乱す選手や、次の契約内容ばかりに興味を持つ選手もいました。でもシーズン終了まであと一カ月という時期になって、優勝の可能性が見えてきたんです。その途端、選手の意識が変わり、チーム全員が同じ方向を向くことができたのです。結果はみごとに優勝でした。

 

誰かの真似をすることだけは避けてきた。サッカーではまったく同じ選手は存在しないし、同じチームも存在しないからだ。

 

選手は厳しいリーグにいたほうが成長しやすい

 

チームワークと個性は相反する概念ではありません。抜きんでた才能の選手が一人いれば、1~2試合は勝てるでしょうが、何試合も勝ち抜くことはできません。一方で、よいチームワークがあれば長いリーグ戦や大きな大会で勝利を手にすることができます。世界のサッカーの歴史に名を残す選手たちも、例外なくチームワークを大切にし、それによって栄光のキャリアを築いてきました。

 

私の持論だが選手も監督も2年以上は同じチームにいるべきではない。なぜなら2年ですべてを教えることができるからだ

 

日本の選手は自分に課せられた役割は何か、自分は何を期待されているのかを知りたがる傾向がありますから、気の済むまでとことん説明して納得させます。そうやって包み隠さず説明すると、選手は言い訳がいえなくなります。それは私にとっていいことです。

 

私の役目は「自分たちのサッカーで世界を驚かせよう」という強いメッセージをチームに発信し、実行させていくことです。国内だけでなく、世界中が日本のサッカーに対して抱いているイメージを、いい意味で裏切りたいと思います。

 

日本人であれ、外国人であれ、日本代表監督は日本人の持っている特徴を尊重しないといけない。そのコンセプトがらずれることなく、ヨーロッパの経験をプラスしてチームをつくっていきたい。自分の特長を持った代表をつくりたい

 

人生とはいかにチャンスを拾っていけるかだ。明日の出来によってチャンスは広がる。