夏目漱石

夏目漱石

愛嬌というのはね、自分より強いものを倒す柔らかい武器だよ。

 

たいていの男は意気地なしね、いざとなると。

 

君、弱い事を言ってはいけない。僕も弱い男だが、弱いなりに死ぬまでやるのである。

 

真面目とはね、君、真剣勝負の意味だよ。

 

わざわざ人の嫌がるようなことを云ったり、したりするんです。そうでもしなければ

 

僕の存在を人に認めさせる事が出来ないんです。

 

僕は無能です。仕方がないからせめて人に嫌われてでもみようと思うのです。
馬は走る。花は咲く。人は書く。自分自身になりたいが為に。

 

乗り切るも、たおれるのも、ことごとく自力のもたらす結果である。

 

僕は十年計画で敵をたおすつもりだったが、近年これほど短気なことはないと思って百年計画にあらためました。百年計画なら大丈夫誰が出て来ても負けません。
その一人の人は、人間全体を代表していると同時に、その人一人を代表している。

 

私は常からこう考えています。第一に貴方がたは自分の個性が発展できるような場所に尻を落ち付けべく、自分のぴたりと合った仕事を発見するまで邁進しなければ一生の不幸であると。

 

運命は神の考えることだ。

 

人間は人間らしく働けばそれで結構だ。

 

考えてみると世間の大部分の人は悪くなることを奨励しているように思う。悪くならなければ社会に成功はしないものと信じているらしい。

 

たまに正直な純粋な人を見ると、坊ちゃんだの小僧だのと難癖をつけて軽蔑する。

 

人間の目的は生まれた本人が、本人自身のためにつくったものでなければならない。

 

自らを尊しと思わぬものは奴隷なり。

 

嫌な女も好きな女もあり、その好きな女にも嫌なところがあって、その興味を持っている全ての女の中で、一番あなたが好きだと云われてこそ、あなたは本当に愛されているんじゃありませんか?

 

青年は真面目がいい。

 

ある人は十銭をもって一円の十分の一と解釈する。ある人は十銭をもって一銭の十倍と解釈する。同じ言葉が人によって高くも低くもなる。

 

もし人格のないものが無闇に個性を発展させようとすると、他を妨害する。権力を用いようとすると、濫用に流れる。金力を使おうとすれば、社会の腐敗をもたらす。随分危険な現象を呈するに至るのです。

 

その場限りでたたりがなければこれほどうまいものはない。しかしあたったが最後苦しい血も吐かねばならぬ。

 

真面目に考えよ。誠実に語れ。摯実に行え。

 

汝の現今に播く種はやがて汝の収むべき未来となって現わるべし。

 

前後を切断せよ、みだりに過去に執着するなかれ、いたずらに将来に未来を属するなかれ、満身の力を込めて現在に働け。

 

嬉しい恋が積もれば、恋をせぬ昔がかえって恋しかろ。

 

のんきと見える人々も、心の底をたたいてみると、どこか悲しい音がする。

 

離れればいくら親しくってもそれきりになる代わりに、いっしょにいさえすれば、たとい敵同士でもどうにかこうにかなるものだ。つまりそれが人間なんだろう。
金は大事だ、大事なものが殖えれば寝る間も心配だろう。

 

自由な書を読み、自由な事を言ひ、自由な事を書かんことを希望いたし喉。
色を見るものは形を見ず、形を見るものは質を見ず。

 

恐れてはいけません。暗いものをじっと見つめて、その中から、あなたの参考になるものをおつかみなさい。

 

恋心というやつ、いくら罵りわめいたところで、おいそれと胸のとりでを出ていくものでありますまい。

 

全ての夫婦は新しくなければならぬ。新しい夫婦は美しくなければならぬ。新しく美しき夫婦は幸福でなければならぬ。

 

細君の愛を他へ移さないようにするのは、夫の義務である。

 

鏡は自惚れの醸造器である如く、同時に自慢の消毒器である。